ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL) の堺 雄亮さんの訪問を通して

ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL) の堺 雄亮さんの訪問を通して

6月27日(火)にソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL) 堺 雄亮さんに会うためにCSL京都を訪問しました!

何か体験したら,何か一つでも明確に認知する気付きを見出す,できたら小さなことでも一つだけでも行動に反映する,これ大事。
と言うことで下記,参加メンバーのレポートです(原文のまま)!


ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)の堺さんの訪問を通して

大本 和尚(B4)

案内と研究テーマ発表

6月27日(火)にソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL) 堺 雄亮さんを訪問しました。まず、堺さんからSony CSLについて簡単な説明とCSL京都を軽く案内していただきました。次に研究内容をそれぞれ発表していきました。

荒井勇哉さんの発表

荒井勇哉さん(M2)の研究テーマは「折線部分をカーフベンディングで表現した立体幾何学形状の設計手法提案」でした。カーフベンディングの弱点として単曲率の問題を挙げ、二方向に対して変形を持った形状の制作は事例がないと述べました。しかし、カーフベンディングの特性を利用することで災害時のシェルターとしての展開がしやすいとの点を指摘しました。

 堺さんからは、構造体の形状と性能を一体的に設計する手法として「形態生成」の観点から興味深いと評価しました。また、折り紙のような形状の制作にはメタマテリアルが適していると提案しました。

東田陽樹さんの発表 

東田陽樹さん(M2)の研究テーマは「MRデバイスを用いたバーチャル・ロボットによる建築物案内を通じた没入感に関する研究」でした。

 堺さんからは建築計画における「アフォーダンス」に注目すべきであると仰られました。彼は、大きな建物ではその効果がより発揮されると考えており、校舎のような場所がわからない場合には特に有効であると述べました。また、カーナビのようなシステムがユーザーに不快感を与えることを避けるための新しいコンテンツ開発を検討してはどうかと仰いました。彼は現実のゲーム化の可能性にも触れ、シャッター街でのビジネス展開や、イングレスやジオキャッシュ、AR三兄弟といった事例を引き合いに出していました。(図1)

小泉彰也さんの発表

小泉彰也さん(M1)はプロジェクションマッピングについて考察していましたが、その一過性と消費されやすさに疑問を持っていました。彼は、人間の感情や物性を日常の中に普通にあるものとして捉え、AIにアドリブを生成させることを提案しました。堺さんからは日常生活の中での感情や物性の扱いについて深く考えることが重要だと述べました。また、AIのアドリブ生成については、人間の感情や物性を理解することが重要であると提案されていました。

米光陸さんの発表

米光陸さん(B4)はフラクタルや自己相似性を持つ事象について考察しましたが、評価変数の選択が難しいと感じました。彼はフラクタルの複雑さや自己相似性を数値化し、それらを評価することを提案しました。堺さんからはフラクタルや自己相似性の現象について、規模や時間軸によってどのように変化するかを理解することが重要だと指摘しました。また、フラクタルの複雑さや自己相似性を数値化する方法については、その評価基準を明確にすることが重要だと提案されていました。(図2)

大本和尚(自分)の発表

自分の研究テーマは「マルチモーダル深層学習を用いた仮想空間における代謝型コンテンツ生成AI」でした。自分はシングルエージェントをより小さなスケールで、マルチエージェントとして相互学習ができるか、エージェントが自由な条件とルールの下で生成できるか、を問いました。フィードバックの結果、始めの一歩としてエージェントシステムを作ることが重要であると理解し、相互補完的に学習が可能であればより良いと考えました。

 堺さんからは、エージェントの行動を制御するルールが抽象的であるため、具体的な目標を設定することが重要だと指摘しました。また、エージェントが集団として行動する場合、エージェント間のコミュニケーションや協力関係の設定が重要になるとアドバイスを受けました。

懇親会での堺さんの発言と京都での生活について

懇親会では堺さん行きつけの焼肉を食べに行きました。(図3)会話の中で堺さんの研究テーマや京都で住む価値などざっくばらんに話してくださいました。堺さんは「CSL京都はソニーグループ内で独立しているため、自由に自身の研究に取り組むことが可能である。しかし、その反面、成果を出すことが求められている」と仰いました。ご自身が京都に住むことを選んだ理由は、京都が東京と比べて非常に濃密に都市が形成されており、自然や風情ある風景、そして川があること。特に鴨川デルタの活動は素晴らしいと語られていました。

 自身の研究やデザインに対する考え方として、「いいデザイン、いい研究をするためには質より量が重要」との信念を持っています。頭がよくても、実際に手を動かして多くの試みを行うことが重要であり、その原動力を見つけ出すことが知性との考えを示していました。

 また、自分にとって一番楽しいと感じる瞬間は、論文を書いたり、プログラムがうまく動いたり、頭で思い描いたことが形になって問題解決できたときと仰っていました。しかしながらそれ以上に、予想していた結果を超える面白い発見があったときが一番楽しいと仰っていました。

 懇親会での堺さんの発言からは非常に謙虚に真摯にご自身の研究について向き合っておられるということが分かり、私や他の学生ももっと頑張らなくてはいけないと思いました。研究相談と懇親会を含め、非常にいい刺激になりました。

 


僕としても,研究に対するご助言が参考になったことは勿論,堺さんの取り組み方に背筋が伸びました。
ありがとうございました!

その後を見て貰えるように,頑張ろう!!!