高松伸
「建築家をコロス,できれば建築もコロス」を標榜している以上,挑まなくてもならない建築家は大勢(建築は沢山)います。
「 高松伸 」先生は挑まなければならない建築家の中でもラスボス級であることに疑いはありません。
ということで,今回は「 高松伸 」先生の美しい ドローイング を立体化しました。
そう,つまり,今回は「建築家をコロス」シリーズではありません(笑)
今回紹介する画像,実は授業の課題ベンチマークです。
2年生の「CAD/CG演習」の「写真や図面を使ったモデリング技法を習得する」という課題です。
具体的には,配布した7事例から好きな立面ドローイングを選んで3次元化する,という内容です。
モデリング技術の習得が直接的な目的ですが,違う意図もあります。
それは,図面の持つ力,2次元の図面を描くという行為(手法)の重要性を感じて欲しい,という意図です。
BIM時代ということで?,何でも3次元的な手法,極端に言えば,図面は3次元モデル作成の過程・結果として生成される副産物,という認識さえ広まっている印象を受けます(特に学生?,特に立面図は疎か)。
形態として3次元であるから始めから3次元の手法と考えればいいのでしょうか。その方が良い場合もあるでしょう。しかし,そんなに強い絶対正義的な手法なのでしょうか。選択的であるはずです。
僕が言うのも変ですが,今も昔もこれからも,2次元の図面を描く,建築のある切り口の表現と思考に特化した図面に焦点を絞って深くデザインする,という手法は安易に捨てられるものではないと思います(この手法が名作を産み出しています!+表現としても図面の方がいいこともあるでしょう)。
僕はプロの設計者ではありませんが,3次元+その他の次元を建築として合成変数化できる経験豊かなプロの方はまだしも,練習中の場合は図面に特化して思考するという手法が該当することもあると思います。少なくとも,選択的であるはずです。
つまり,どちらも体験して手練れになっておく必要がある,ということです(いやホント,最近の学生さんは学ぶことが多くて大変やりがいに溢れていますね)。
という事で?,高松先生の図面を見ればその重要性がビシバシ感じられるかな,と思い高松先生のドローイングを題材にさせて頂きました。
(高松先生の真髄は精巧なドローイングよりも,早さとレイアウトも含めたデザインの巧みさ,精巧なドローイングは高松研の猛者達が,という感もありますが,この点は保留で)
前置きが長くなりましたが,下記のようになりました。(ラフかつ想像の部分が多くて恐縮です+UVWアンラップを使った修正は省略しています)
設計:高松伸,シンタックス,1990年,京都
抜群に格好いい,どう考えても格好いい,さすが高松伸先生のドローイングです。
言わば手描きテクスチャ,高松先生のドローイングをテクスチャ扱いして怒られないか,という心配もあるけど格別に素敵。
CGと手描きの新しい表現のようにさえ思える。
元のドローイングはGAアーキテクト9(なんと9!)の表紙です。
とても格好いいものができたので思わず紹介しました。
(高松伸先生のドローイングもコルビジェネレーターみたいにAI化できるか試したいなー)
思い返せば,高松先生のドローイングは初めて目にしたは大学2年生くらいだったかな。
とても感動したのと同時に「手描きではどんなに努力しても勝てない,僕はCGを頑張ろう」と思った契機でもあります。
その高松先生のドローイングをラフでも3次元化できたと思うと,何だか嬉しいです。
立体化するためにドローイングをジロジロみて,高松先生のデザインの巧みさと解像度の高さに改めて感服させられました。やはり名作のトレースは勉強になりますね!
またとっても楽しかったです,時間を見つけて他の作りたい。
でも,その前に何より2年生の提出物に期待します!
あ,そう言えば,学生に出来を自慢している時に「先生は暇なんですか?」と言われました(笑)
暇だから作った訳ではありませんし,もっと言うと仕事(授業)のためというモチベーションも二次的な理由です。
純粋に、思い付いたことを一度はやろう、何か興味深いものが作れそう、なんか楽しそう、という思いから制作しました。
つまり,授業資料になったのは「楽しさのお裾分け」です。
大学や授業や演習に何となく疑問を持っている人がいると思います。
提出物(単位)のため楽しさは二の次,ではなく「楽しさのお裾分けが提出物(単位)」と考えて取り組み方を探してはどうでしょうか。
“図面(立面図)を舐めるなよ?:高松伸先生の立面ドローイングの立体化” への3件のフィードバック
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